アスベスト事前調査とは?対象工事・資格・費用・流れ・報告を完全解説

アスベスト事前調査とは?対象工事・資格・費用・流れ・報告を完全解説
アスベスト事前調査の全体像

アスベスト事前調査とは、建築物や工作物の解体・改修工事を始める前に、工事で触る建材に石綿が使われていないか確認する調査です。

基本は「書面を調べる → 現地を目視確認する」の順に進めます。それでも石綿の有無を判断できない建材は、分析調査を行うか、アスベスト(石綿)が含まれているもの(石綿含有みなし)として扱います。

このページでは、自分の工事に事前調査が必要か、誰が調査するのか、資格・費用・行政報告はどうなるのかを、2026年の制度に基づいて初めての方にも分かる言葉で説明します。

2026年8月11日更新|厚生労働省・環境省・石綿総合情報ポータルサイトの公表資料を確認しています。

目次

アスベスト事前調査を30秒で確認

いつ必要?
解体・改修工事を始める前です。

誰の義務?
元請業者または自主施工者です。

誰が調べる?
原則、対象に合う資格者です。

何を確認する?
工事で触る範囲のすべての材料です。

分析は必須?
いいえ。判断できない時に検討します。

行政報告は必須?
一定規模以上の工事で必要です。

解体工事の延床面積80㎡未満・改修工事の請負金額100万円未満でも、事前調査自体が不要になるわけではありません。

解体工事の延床面積80㎡以上・改修工事の請負金額100万円以上の要件は行政へ事前調査結果を報告するかの判断基準です。
上記の規模以下の工事においても、既存材料を壊す・削る・穴を開けるなどの作業では、原則として事前調査が必要です。

アスベスト事前調査とは?

建築物や工作物を解体・改修する前に、工事対象となる材料を一つずつ確認し、石綿が含まれているかを整理する調査です。調査結果は、工事方法や飛散防止対策、必要な報告・届出を決める土台になります。

たとえば壁を撤去する場合は、表面材だけでなく、下地、接着剤、重ね張りされた材料なども確認します。改修工事では「建物全部」ではなく、切る・削る・穴を開ける・取り外すなど、実際に手を加える範囲が調査対象となります。

事前調査は誰の義務?元請業者と発注者の役割

元請業者・自主施工者

工事前に事前調査を実施し、記録・説明・掲示・必要な行政報告を行います。

発注者・建物所有者

設計図書や改修履歴などの情報を提供し、適正な調査・除去に必要な費用と工期へ配慮します。

厚生労働省の案内でも、事前調査は施工業者である元請事業者が行い、発注者は情報提供や適切な費用・工期への配慮をすることが示されています。詳しくは石綿総合情報ポータルサイト「工事の元請業者のみなさまへ」をご確認ください。

調査・分析・結果報告・届出は別の手続きです

1 事前調査

工事で触る範囲の材料を調べること。対象工事はここから始めます。

2 分析

判断できない建材の試料を、資格要件を満たす分析者が調べること。

3 事前調査結果の報告

一定規模以上の工事で、調査結果を労働基準監督署・自治体へ報告すること。

4 除去等工事の届出

石綿が見つかった後、建材や作業内容に応じて行う別の手続き。

行政報告はアスベスト事前調査結果報告の解説、除去等工事の届出はアスベスト除去工事に必要な届出で詳しく確認できます。

どんな工事でアスベスト事前調査が必要?

工事名や金額だけではなく、既存の材料にどのような作業をするかで判断します。

解体工事

建物全部の解体だけでなく、壁や天井などの部分解体も原則対象です。

改修・リフォーム

修繕、原状回復、リノベーションなども、既存材料に手を加えるなら確認します。

塗装・設備・内装工事

下地を削る、壁に穴を開ける、床材・配管・設備を取り外す作業などが該当します。

工作物の工事

反応槽、加熱炉、ボイラー・圧力容器、一定の配管・発電設備なども対象になります。

建築設備と工作物を混同しないよう注意してください。
建物に設けられた給水・排水・換気・冷暖房・排煙設備などは、事前調査では建築物の一部として扱われます。
工作物の区分は設備の名称だけで決めず、設置状況と対象区分を確認します。

【一覧】事前調査と行政報告の要否

工事事前調査行政への結果報告
建築物の解体
80㎡以上
原則必要必要
建築物の解体
80㎡未満
原則必要原則不要
建築物の改修
100万円以上(税込)
原則必要必要
建築物の改修
100万円未満(税込)
原則必要原則不要
特定工作物の解体・改修
100万円以上(税込)
原則必要必要
特定工作物の解体・改修
100万円未満(税込)
原則必要原則不要
既存建築物等の解体・改修を伴わない新築工事不要不要
自治体条例や作業内容による追加手続きがある場合があります。

事前調査の対象外となる作業もあります。
石綿を含まないことが明らかな木材・金属などを、周囲の材料を傷つけずに取り外す作業、釘の抜き差しなどの極めて軽微な作業、既存材料を除去せず新しい材料を追加するだけの作業などです。
詳しい条件はアスベスト事前調査が不要な工事をご覧ください。

2006年9月1日以降に着工した建築物の扱い

設計図書などで、建築物の新築工事の着工日が2006年9月1日以降であることを確認できる場合は、その書面確認によって石綿なしと判断でき、通常の目視調査を省略できる場合があります。

「調査不要」になるわけではありません。
着工日を確認して記録すること自体が事前調査となります。
竣工日や登記年月ではなく、新築工事の着工日を確認します。
解体工事の延床面積80㎡以上・改修工事の請負金額100万円以上の工事は、石綿なし(着工日が2006年9月1日以降)でも行政報告が必要です。

誰が調査できる?アスベスト事前調査に必要な資格

通常の事前調査は、建築物・工作物・船舶などの対象区分に合う資格者が行います。
事前調査をする人と、採取試料を分析する人にも、それぞれ要件があります。

建築物の事前調査

特定・一般・一戸建て等建築物石綿含有建材調査者、または所定の登録者。

工作物の事前調査

工作物の種類・材料に応じ、工作物石綿事前調査者等の要件を満たす人。

採取試料の分析

分析調査者講習修了者など、法令上の分析者要件を満たす人。

2026年1月1日以降に着工する対象作業から、工作物でも資格者による事前調査が必要です。工作物は種類や使用材料によって担当できる資格が異なります。詳しくはアスベスト事前調査に必要な資格2026年のアスベスト制度変更、厚生労働省の工作物石綿事前調査者の案内をご確認ください。

石綿作業主任者と事前調査者(石綿含有建材調査者など)は別の資格です。
石綿作業主任者は除去等の作業を指揮するための資格であり、その資格だけではアスベスト事前調査者の要件を満たしてはおりませんので注意が必要です。

アスベスト事前調査の流れ

アスベスト事前調査の流れ。対象確認、書面調査、目視調査、分析または石綿含有みなし、結果報告までを示す図

事前調査は、工事範囲を決めたうえで書面調査と目視調査を行い、材料ごとに石綿の有無を判断する流れです。
書面と現地の建材が違う可能性もあるため、原則、目視調査が必要となります。

STEP 1|工事範囲を確認する
どこを、どのような方法で壊す・削る・穴を開ける・取り外すのかを整理します。


STEP 2|書面調査を行う
設計図書、仕様書、改修履歴、メーカー資料などを確認します。


STEP 3|目視調査を行う
現地の建材、重ね張り、改修部分、裏面表示、隠れた部分などを確認します。


STEP 4|材料ごとに判定する
石綿含有の有無と判断根拠を整理し、判断できない建材を特定します。


STEP 5|必要に応じて分析する
判断できない建材は分析するか、石綿含有建材とみなして対策します。


STEP 6|調査記録を作成する
調査範囲、結果、判断根拠、調査者・分析者などを記録します。


STEP 7|報告・掲示・届出へ進む
対象工事は着工前に行政へ調査結果を報告します。調査結果の掲示や必要な届出も行います。

書面調査と目視調査では何を見る?

書面調査

  • 設計図書・仕様書
  • 新築工事の着工日
  • 改修・補修の履歴
  • 製品名・メーカー・型番
  • メーカー資料・建材データベース

資料から、使用された可能性のある建材と確認すべき場所を絞り込みます。

目視調査

  • 現地で使われている実際の建材
  • 図面と現地の違い
  • 重ね張り・改修された部分
  • 仕上材・下地・接着剤などの層
  • 天井裏などの隠れた部分

資料と現物が一致するかを、工事で手を加える範囲全体で確かめます。

「建材データベースに載っていない」「見た目が似ている」という理由だけでは、石綿なしとは確定できません。確認の考え方はアスベストの見分け方で詳しく説明しています。

判断できない建材はアスベスト分析へ

「事前調査=必ず分析」する必要はありません
書面と目視で石綿の有無を判断できれば分析調査は不要です。
判断できない建材だけ、分析または「石綿あり」とみなす対応を検討します。

書面・目視で石綿の有無を判断できない

分析する

採取した試料を専門機関で分析し、結果を調査記録に反映します。

石綿ありとみなす

分析を省略し、石綿含有建材として必要な飛散防止対策などを行います。

試料採取は、事前調査を行う有資格者が、建材の種類や施工状況を確認し、同一と考えられる材料の範囲や採取位置・採取数を適切に判断したうえで行います。

採取位置や採取数が適切でなければ、分析結果を工事範囲全体の判定に使用できない場合があります。
また、試料採取時には石綿の飛散・ばく露を防止するため、適切な措置を講じる必要があります。

分析結果確認後、採取場所と同一材料の範囲を整理し、工事範囲全体の調査記録にまとめます。

NASU環境分析センターでは、JIS A 1481-1による建材の定性分析を全国から受け付けています。サービス内容はアスベスト分析、方法の違いはアスベスト分析方法をご覧ください。

アスベスト事前調査の費用はいくら?

事前調査の費用は、工事範囲、図面の有無、建材の種類と数、現地調査の条件、採取・分析する検体数、報告書、交通費などによって見積もりが変わります。

費用項目主な内容
書面・目視調査資料確認、現地確認、建材の判定
試料採取採取位置・数の判断、安全措置、採取
建材分析採取された試料の石綿含有判定
事前調査報告書調査範囲、結果、根拠などの記録
交通費・諸経費現地までの移動、機材など

アスベスト分析が必要になった場合の料金

書面調査や目視調査だけではアスベストの有無を判断できない場合は、分析を行うか、石綿含有とみなして必要な対策を行います。

NASU環境分析センターでは、建材中のアスベストの有無を確認するJIS A 1481-1による定性分析を全国から受け付けています。

プラン料金(税別)納期
標準分析17,000円/1検体7営業日以内
スピード分析19,000円/1検体3営業日以内

✓ JIS A 1481-1による定性分析

✓ 層別でアスベスト含有の有無を確認

✓ 全検体を複数名でクロスチェック

✓ 電子印付きPDF報告書を発行

行政へ事前調査結果を報告する必要がある工事

石綿が見つからなくても報告が必要な場合があります。
行政への結果報告は「石綿があったか」ではなく、工事の種類と規模で判断します。

工事行政への報告基準
建築物の解体解体部分の床面積の合計が80㎡以上
建築物の改造・補修請負代金の合計が100万円以上(税込)
特定工作物の解体・改造・補修請負代金の合計が100万円以上(税込)

報告は原則として「石綿事前調査結果報告システム」を使い、GビズIDでログインして工事着手前に行います。対象や入力方法はアスベスト事前調査結果報告の解説、システムの案内は厚生労働省の石綿事前調査結果報告システムで確認できます。

調査が終わった後にすること

1 記録・説明

調査結果と判断根拠をまとめ、元請業者は発注者へ書面で説明します。

2 保存・備え付け・掲示

調査記録を3年間保存し、工事現場に備え付け、結果の概要を見やすい場所に掲示します。

3 報告・届出

基準に該当する工事は行政報告を行い、石綿ありの場合は建材や作業に応じた届出も確認します。

4 工事計画・施工

調査結果に応じて飛散防止措置、作業方法、廃棄方法を決め、計画に沿って施工します。

除去等工事に必要な届出は、石綿の種類、建材、作業内容によって異なります。詳しくはアスベスト除去工事に必要な届出をご確認ください。

未実施・未報告のリスク

法令上必要な事前調査や結果報告を行わない場合、行政指導や罰則の対象となる可能性があります。
着工後に調査漏れが判明すると、再調査、工事停止、工程や費用の見直しにつながるおそれもあります。
契約前から調査期間と費用を工程に組み込むことが重要です。

アスベスト事前調査のよくある質問

Q. 小規模な工事でも事前調査は必要ですか?

必要です。
工事の規模に関わらず、既存の建材を壊す、削る、穴を開ける、取り外すなどの作業がある場合は原則として必要です。
材料を傷つけない一部の作業など、法令上の対象外となる例外はあります。アスベスト事前調査が不要な工事をご確認ください。

Q. 解体工事の延床面積80㎡未満・改修工事の請負金額100万円未満なら事前調査不要ですか?

いいえ。
解体工事の延床面積80㎡以上・改修工事の請負金額100万円以上は主に行政への結果報告を判断する基準です。
基準未満でも事前調査は原則必要となります。

Q. 2006年9月1日以降に着工した建物の工事でも事前調査は必要ですか?

必要です。
ただし、設計図書などで新築工事の着工日が2006年9月1日以降と確認できる場合は、その書面確認を根拠とする簡略な方法に該当し、通常の目視調査などは不要となります。
報告基準以上の工事では、石綿なしでも行政報告が必要です。

Q. 新築工事でも事前調査は必要ですか?

既存建材を解体・改修しない純粋な新築工事は、解体等工事の事前調査の対象ではありません。既存建物の解体や改修を伴う建て替え工事では、その既存部分について調査が必要です。

Q. 誰でも事前調査できますか?

原則として、工事対象に適合する有資格者が行います。
建築物と工作物では必要な資格が異なり、工作物は種類や材料によって担当できる資格者が変わります。

Q. 石綿作業主任者でも事前調査できますか?

石綿作業主任者の資格だけでは、事前調査者の要件を満たしません。
除去等作業を指揮する石綿作業主任者と、工事前に建材を調べる事前調査者は別の資格です。

Q. アスベスト分析は必須ですか?

必須ではありません。
書面と目視で判断できない建材は、分析するか石綿ありとして扱います。分析する場合も、その結果を採取場所と工事範囲に結び付けて事前調査記録へ反映します。

Q. 石綿がなければ行政報告は不要ですか?

石綿の有無ではなく、工事の種類と規模で判断します。
解体工事の延床面積80㎡以上・改修工事の請負金額100万円以上の報告基準に該当すれば、石綿なしという調査結果でも工事着手前の報告が必要です。

Q. 事前調査の費用はいくらですか?

調査範囲、資料の有無、建材数、現地条件、採取・分析数、報告書、交通費などで変わります。
調査会社へ見積もりを依頼するときは、事前調査一式と建材分析の費用を分けて確認してください。

Q. 調査や分析には何日かかりますか?

事前調査全体は建物の規模、図面の有無、現地条件、分析数などで変わります。
NASUの建材分析報告書は、標準分析が7営業日以内、スピード分析が3営業日以内です。

参考にした公的資料

監修・作成:NASU環境分析センター/最終確認日:2026年8月11日。制度の一般的な内容をまとめたものであり、自治体条例や個別工事の判断は、工事場所を所管する労働基準監督署・自治体へご確認ください。

まとめ|事前調査・分析・報告・届出を分けて確認

  • 解体・改修する範囲は、規模にかかわらず原則として事前調査が必要
  • 解体工事の延床面積80㎡以上・改修工事の請負金額100万円以上は、行政へ調査結果報告の要否について判断する基準
  • 建築物・工作物の種類や材料に合う資格者が調査する
  • 書面と目視で判断できない建材は、分析するか石綿ありとして扱う
  • 調査後は、記録・保存・備え付け・掲示・必要な報告や届出へ進む
全国からアスベスト分析を受付しています

建材のアスベスト含有が不明なら
分析で確認できます

書面調査や目視調査だけでは石綿の有無を判断できない建材は、 アスベスト分析をご検討ください。 NASU環境分析センターでは、全国から建材検体を受け付けています。

17,000円〜
1検体・税別
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JIS A 1481-1
定性分析
全検体
複数名でクロスチェック
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建材の石綿有無を確認したい方はこちら

分析方法・検体採取についても 分析サービスページで確認できます。

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