アスベストAIチェッカーは、建材の破断面画像から、AIが画像上の特徴を解析し、クリソタイル含有の可能性を簡易チェックします。
現在の判定対象
- 建材:スレート系建材
- 石綿:クリソタイル
- 撮影箇所:建材の破断面
- 位置付け:現場での簡易スクリーニング
重要:アスベストAIチェッカーは、石綿の非含有を証明するものではありません。JISによるアスベスト分析の代替ではないため、AIの結果だけで石綿の有無を確定することはできません。
アスベストAIチェッカーとは
アスベストAIチェッカーは、スマートフォンで撮影したスレート系建材の破断面画像をAIで解析する、開発・検証中のスクリーニングツールです。
画像上にクリソタイル含有建材で見られる特徴があるかを確認し、正式な分析を依頼するか、石綿含有建材として扱うかなど、その後の対応を考えるための補助情報を提供します。
対象
スレート系建材
撮影
表面ではなく破断面
役割
含有可能性の簡易チェック
アスベストAIチェッカーは何のためのAI?
建物のアスベスト事前調査では、書面や目視だけでは石綿の有無を確認できない建材があります。
アスベストAIチェッカーは、そのような建材をスマートフォンで撮影し、次に取るべき対応を考えるための補助情報を提供します。
1.書面では分からない
↓
2.目視しても石綿含有か分からない
↓
3.スレート系建材の破断面をスマートフォンで撮影
↓
4.AIチェッカーで簡易スクリーニング
↓
5.結果を参考に、その後の対応を検討
AIがアスベスト事前調査を行うものではありません。法令に基づく事前調査は、必要な資格を有する者が実施してください。
AIチェック後は、2つの対応へ
AIの結果は、石綿の有無を確定する結論ではありません。現場の条件や工事計画に応じて、次の対応を検討します。
正式に確認したい
JIS A 1481-1によるアスベスト分析で、石綿含有の有無を確認します。
石綿含有として扱う
分析を行わず石綿含有建材とみなす場合は、法令に沿った飛散防止措置や工事方法を検討します。
どちらの対応を選ぶ場合も、AIの結果だけを根拠に「石綿なし」と判断することはできません。
なぜスレート系建材に限定しているのか
アスベスト含有建材は、建材の種類、材質、劣化状態、破断面の状態によって、画像上の特徴が大きく異なります。
そこでNASU環境分析センターでは、最初からすべての建材を対象にせず、精度を高めるため、まずスレート系建材に対象を絞って学習・検証を進めています。
現在は、AIの学習に使う約1,000枚の教師画像を使用しています。実際の建材を使った検証も継続し、十分な検証データが集まった建材から対象範囲を広げていく予定です。
※「約1,000枚」は画像枚数であり、建材数や検体数を示すものではありません。
AIチェッカーの使い方
AIが確認するのは、建材表面ではなく、内部が見える破断面の画像です。1枚だけでなく、異なる場所を複数枚撮影して確認します。
- 対象がスレート系建材か確認する
- 建材の破断面を確認する
- 案内に従い、異なる場所を3〜5枚撮影する
- 撮影した画像をAIへ送信する
- 複数画像の結果をまとめて確認する
- 必要に応じて正式なアスベスト分析を依頼する
撮影時の注意:AIで撮影するためだけに、施工中の建材や石綿含有が疑われる建材を安易に破損・切断しないでください。
試料採取や破断面の作成が必要な場合は、事前調査を行う資格者等の管理のもと、法令や現場の手順に従って、石綿の飛散・ばく露防止対策を行ってください。
テストではスマートフォンと指定の撮影用レンズを使用します。対応端末や機材の受け取り方法は、参加時にご案内します。
判定結果は「あり・なし」の二択にしません
画像だけでは判断が難しいケースがあるため、将来の結果表示は、可能性や判定の難しさが伝わる段階表示を検討しています。
含有の可能性あり
画像上にクリソタイル含有の可能性を示す特徴が確認された状態です。正式な分析、または石綿含有としての対応を検討します。
判定が難しい
画像の状態や建材の特徴から、AIで明確な傾向を示しにくい状態です。撮影条件を見直すか、正式な分析を検討します。
石綿の特徴を検出できず
撮影画像から対象となる特徴を検出できなかった状態です。石綿が含まれていないことを意味するものではありません。
「石綿の特徴を検出できず」は、「石綿なし」「非含有」「安全」という意味ではありません。石綿の非含有を確認する必要がある場合は、正式なアスベスト分析をご利用ください。
AIの精度向上に向けて
AIの改善に必要なのは、画像枚数を増やすことだけではありません。
NASU環境分析センターでは、現場写真と正式な分析結果が結びついた検証データを蓄積し、AIの結果を確認しています。
- スレート系建材の破断面をAIで画像チェック
- 同じ建材をJIS A 1481-1で分析
- 正式な分析結果とAIの結果を比較
- 検証データとして蓄積し、AIの改善に活用
目指しているのは、「現場写真」と「正式なアスベスト分析結果」がセットになったデータの蓄積です。この循環によって、建材ごとの特徴を丁寧に検証していきます。
正式に確認する場合は、JIS A 1481-1によるアスベスト分析へ
石綿の有無を正式に確認したい場合や、石綿の非含有を確認する必要がある場合は、AIの結果にかかわらずアスベスト分析をご利用ください。
NASU環境分析センターでは、JIS A 1481-1によるアスベスト定性分析を全国から受け付けています。
- JIS A 1481-1による定性分析
- 国内で規制されている6種類の石綿を対象
- 層別分析・推定石綿質量分率を標準対応
- 電子印付きPDF報告書を発行
今後の開発について
現在は、精度を高めるためスレート系建材に特化しています。今後は、十分な検証データが集まった建材から対象を追加し、将来的には建材カテゴリーごとのAIモデルを検討します。
- スレート波板
- スレートボード
- 窯業系サイディング
- ケイ酸カルシウム板
- ビニル床タイル
※上記は将来の開発候補です。現時点で対応を保証するものではなく、具体的な提供時期は未定です。
よくあるご質問
AIだけでアスベストの有無を判断できますか?
できません。アスベストAIチェッカーは、画像からクリソタイル含有の可能性を簡易チェックする補助ツールです。石綿の非含有を確認する必要がある場合は、JISによる正式なアスベスト分析をご利用ください。
どのような建材に対応していますか?
現在はスレート系建材を対象に開発・検証しています。すべてのレベル3建材に対応しているわけではありません。建材の種類や状態、撮影条件によっては、対象外または判定が難しい場合があります。
何を撮影すればよいですか?
建材表面ではなく、内部が見える破断面を撮影してください。1建材につき、異なる場所の破断面画像を3〜5枚撮影して確認します。AIで撮影するためだけに建材を安易に破損・切断しないでください。
クリソタイル以外の石綿もチェックできますか?
現在はクリソタイルを主な対象として開発しています。アモサイト、クロシドライト、アクチノライト、アンソフィライト、トレモライトの確認が必要な場合は、正式なアスベスト分析をご利用ください。
「石綿の特徴を検出できず」と表示されたら、石綿なしですか?
いいえ。撮影画像から対象となる特徴を検出できなかったという意味であり、石綿の非含有を示すものではありません。AIの結果だけで「石綿なし」「安全」と判断しないでください。
アスベスト分析も依頼できますか?
はい。NASU環境分析センターでは、JIS A 1481-1によるアスベスト定性分析を全国から受け付けています。
誰でも利用できますか?
テスターの対象や利用条件は、お申し込み内容を確認したうえでご案内します。AIチェッカーの利用と、法令に基づくアスベスト事前調査の実施資格は別です。法令上必要な事前調査は、必要な資格を有する者が実施してください。
正式な石綿含有判定が必要な場合
石綿の有無を正式に確認する場合は、JIS A 1481-1によるアスベスト分析をご利用ください。

